ノーヒットノーランの達成条件をまとめました。
野球を長く見ているとたまにノーヒットノーランの記録が生まれますね。知らない方には分かり辛いと言われてしまいましたので、調べてまとめてみました。完全試合との違いも書いてみました。
ノーヒットノーランの条件
まずはノーヒットノーランの条件です
- 完投:1人の投手がプレイボールから試合終了まで投げること
- 無安打:ひとつの被安打(ヒット)も無いこと
- 完封:無得点で抑えること
- 雨天コールドなどが無く9回以降の試合終了まで行われること
この4つです。
1人の投手が試合終了まで投げていること
ひとつ目は、完投することです。
試合の途中で投手が代わってしまうと記録にはなりません。
たとえば先発投手が無安打無失点で抑え、継投後の投手も無安打無得点で抑えても「ノーヒットノーラン」の記録にはなりません。
プレイボールから試合終了まで1人の投手が投げること、完投が条件です。
ひとつのヒット(被安打)もないこと
試合開始から終了までひとつの被安打も無いことも条件です。
ちなみにヒットとは「公式記録でヒットと成らない」ことです。
つまり、バッターに打たれても「公式記録が野手のエラー」となればまだノーヒットですね。
打球をキャッチしたあとの送球ミスなどがそれに当たります。
無得点で抑えること
いわゆる「シャットアウト」で、試合終了まで1得点も与えないのも条件です。
1人で投げきると合わせて考えると、完封が達成条件ということになります。
試合が途中で終わらないこと
野球を見ていると、たまに雨などで試合が途中で終わってしまうことがあります。
コールドゲームで試合が途中で終わった場合には、ノーヒットノーランの記録は付きません。
例えば、天候の影響で6回コールドゲームになった場合、その時点までの記録は参考記録とはなりますが、公式記録としてのノーヒットノーランにはなりません。
9回以降の試合終了が条件です。(後攻チームがリードしていて9回表で終了の場合はもちろん公式記録になります)
勘違いしやすい達成条件・ノーヒットノーランの「ラン」とは?
ノーヒットノーランの達成条件では
- フォアボールやデッドボールでの出塁
- 野手のエラーでの出塁
これらの理由でランナーを出したとしても、まだノーヒットノーランの条件は満たしています。
つまりどういうことかというと
ノーヒットノーランの「ノーラン」というのは、
フォアボール・デッドボール・エラーで
出塁したランナーに本塁を踏ませなかった
という意味になります。
ノーヒットノーランの条件として、「何故?」と疑問に思われるのが
- フォアボールなのに何故ノーヒットノーラン?ランナーが出てるよね?
ということですね。
デッドボールでもランナーが出ているのにノーヒットノーランは達成できます。
ここまで書いてきた通り、無安打が条件なので、フォアボールだろうとデッドボールだろうとランナーを出すことは問題ありません。
例えば、ドジャースでノーヒットノーランを達成した野茂英雄さんは「フォアボールを出したけれどノーヒットノーラン」を達成されています。
ヒットさえ浴びなければ大丈夫なのです!
ところで、フォアボールやデッドボール、そしてエラーでさえダメものがあります、それが完全試合です。
完全試合の条件とノーヒットノーランとの違い
完全試合の条件は
- 1人の投手がプレイボールから試合終了まで投げること
- ひとつのヒット(安打)も無いこと
- 無得点で抑えること(ホームベースを踏ませない)
- 雨天コールドなどが無く試合終了までプレーが行われる
これに付け加え
- いかなる理由が有ってもランナーを出さないこと
つまり、投手によるデッドボールやフォアボール、振り逃げによるものはもちろんのこと、野手によるエラーも許されません。
完全試合は投手のみならずチーム全員の成果ともいえますね。
もちろん、ノーヒットノーランも同様です。
準完全試合とノーヒットノーラン
たった一度のフォアボールによって完全試合を逃す場合があります。これを準完全試合と呼ぶこともあるようです。
私が知っている中で、一番惜しかったのは、2012年5月30日の巨人vs楽天の試合での杉内俊哉投手によるものです。
8回まで楽天を完全に抑えていた杉内投手ですが、9回表2アウト、中島俊哉選手に対する一度のフォアボールによって完全試合を逃すこととなりました。
しかし、この日の杉内投手の気迫、投球内容はとても素晴らしく、プロ野球史上75人目のノーヒットノーランを達成されました!
1996年 野茂英雄さんのノーヒットノーラン@クアーズ・フィールド
私がノーヒットノーランで一番印象に残っているのは、1996年9月17日に大リーグ、クアーズ・フィールドで野茂英雄さんが記録されたノーヒットノーランです。
現在、標高1600mの地にあるクアーズ・フィールドでのノーヒットノーランはこのときだけとなっています。
何故、ここでノーヒットノーランが生まれにくいかというと
- 標高が高いので打球が飛びやすい
- 打球が飛びやすいので外野手は深く守りポテンヒットが起こりやすい
この2点が挙げられます。事実、クアーズ・フィールドを本拠地としているMLBのコロラド・ロッキーズは首位打者やホームラン王を数多く出していて、2000年4月26日には登板した吉井理人さんがホームランを打っています(実力で)。
野茂さんは、ドジャースの投手としてそれまでトルネード投法で数多くの三振をとってきましたが、この日は試合開始前から雨が降りマウンドがぬかるんでしまい、ヒットこそ打たれませんでしたが、2回までフォアボールを出すなど非常に乱調でした。
そこで野茂さんは、3回からはトルネード投法をせずに投げはじめました。これにより、ピッチングのペースが上がり、守る野手にとってもリズム感のある試合になったのだと思います。
打線が好調で 9 - 0 でドジャースが勝利した試合でした。
8回、ノーヒットノーランが見えてくると、大差をつけて負けているはずの敵地クアーズ・フィールドのお客さんも野茂さんの記録を歓迎するようにウェーブや拍手が起こり始めました。なにせ、この地でのノーヒットノーランは絶対に出ないとまで言われていましたし、それを野球ファン全員が知っていたのです。
ラストバッターは、その週に非常に調子の良かったリーグを代表する3番バッター。
初球、外角低めに外れボール、そして、2ボール2ストライクからの5球目、三振を取りノーヒットノーランが達成されました。
2017年8月に至っても、クアーズ・フィールドでノーヒットノーランを達成したのは野茂英雄さんだけです。
1973年 江夏豊さんのノーヒットノーラン
1973年8月30日 阪神 vs 中日
先発投手の江夏豊さんは延長11回の表までノーヒットノーラン、裏の攻撃のトップバッターとして打席に立った江夏さんの自らのバットでサヨナラホームランを打ち、勝負に決着をつけるとともに、ノーヒットノーランを達成しました。
- 完投している
- 被安打がない
- 完封している
- 9回以降の試合終了
この条件を達成しているためにノーヒットノーランとなりました。
この時の映像がYouTubeにアップされています。
凄い選手ですね…。全盛期を見たかったです。
まとめ
ノーヒットノーランの条件をまとめました。
「9回以降の試合終了まで1人で投げぬき、1人もヒットのランナーを出さずに完封勝利した投手」
これがノーヒットノーランです。
素晴らしい記録です。