時々、主にクリエイターと呼ばれる方が発せられる、「うる覚え」という言葉。
私は違和感を感じました。
「うろ覚え」とずっと思っていましたが、調べてみると「うる覚え」と発言される方も多いことに気づきました。
というわけで「うろ覚え」と「うる覚え」のどっちが正しいのか調べました。
「うる覚え」なのか「うろ覚え」なのか
うろ覚えの意味
うろ覚えの意味は
- 曖昧に覚えている不確かな記憶
ですね。
記憶があいまいで、確かかどうかわからない。そんな状態をうろ覚えと言います。
「うろ覚え」は辞典にはどう書かれている?
まず、有名な日本語辞典の「うろ覚え」と「うる覚え」の項を見てみると
この写真は、1975年(昭和50年)発行の現代実用辞典なのですが、ここにも「うる覚え」は掲載されていません。
日本語辞典にはその時代に使われている言葉を日本語の研究者の監修のもとに出来る限り収録しようと努められています。
このことから、辞典に収録されていない、または、間違いと言及されていますので、現時点で「うる覚え」ではなく「うろ覚え」が正解ではないかなと考えています。
うろ覚えの語源
次に「うろ覚え」の語源なのですがwikiでは「空洞を指す「うろ(空・虚・洞)」を語源とする」とあり、もうひとつ、「「うろんおぼえ」という用法があり「うろんおぼえが省略された形」」と書かれています。
wikiは一般の方でも自由に編集できるので、出典が確実ではない限りそれが確かとは言えませんが、恐らく語源はこのあたりなのでしょうね。
うろ覚えの「ろ」を「る」に変換する理由もなく、るの方が言い易いということもありませんので、「うろ覚え」が自然ではないかなーと思います。
wikiのうろ覚えの項には
「ろ」と「る」が混同されやすいため「うる覚え」と書かれる場合もあるが、これはまさにうろ覚えの「うろ覚え」であると言えよう。
via:wiki「うろ覚え」
なんてことまで書いてあったりします。
ツイッターで「うる覚え」と初めて発言されたのはいつ?
ツイッター検索で「うる覚え」を検索してみました。
うる覚え since:2006-03-21 until:2007-12-31
※現在もアカウントが残っているユーザーの発言を検索できるものです。
2006年中はうる覚えという言葉は出てきませんが、2007年5月7日に初めて出てきており、翌日2007年5月8日には別のユーザーが「どうしてうる覚えという人がいるの?」と呟かれています。
さらに検索してみると2008年末頃までは、散見というくらいだった「うる覚え」という発言ですが、2009年にはツイッターユーザーが増えていくに連れて一気に増えていった感じです。そして2019年の現在は「うる覚え」と発言する人が毎日いらっしゃいます。
ツイッターでさえこのように使われているのですから、日常生活の中ではもっと頻繁に「うろ覚え」のことを「うる覚え」と話される方がいらっしゃるのでしょうか。そして、それに違和感も持つ人も多いのではないかと想像してしまいます。
まとめ ネット社会ではどうやって言葉が広まるか?
私は日本語のことしか知りませんが、誤用であっても人々の間で広く一般的になってしまった言葉は、識者がどんなに正したいと考えても、それまでの時代に使われていた本来の意味はもう戻ってこない言葉が多くあると感じています。
そして、もしかしたら「うろ覚え」の意味が「うる覚え」でもokとなる日が来るかもしれません。
いえ、かなりの違和感を持ちつつも、(人間関係もあって)とくに正すことなく「うる覚え」を受け入れている方も多いかと思いますので、そのうち「うる覚え」が違和感なく広まるのかもしれません。
とくにマスメディアに関わっている影響力のある「識者(作家・コピーライター・メディアクリエイター)」の方が冗談にでも「うる覚え」を使っていたら一気に広まるかもしれません。その時「うろ覚え」派の方は要注意ですね。